記載例を見てみよう
SOAP形式で書く場合、SからPの順番で書く方法と重要なAから書く方法の2種類あります。どちらの方法がやりやすいかは人によって違います。分かりやすいように具体例を紹介しますので、それを参考にして書きやすい方法を見つけてください。
患者は「骨折で入院している男性高齢者」
患者の年齢は82歳、性別は男性です。誤嚥性肺炎の既往歴があり、大腿骨頚部骨折で入院しました。痛みなどの症状はなく経過も順調で、術後5日目の昨日から食事を常食に変更しました。完食まではいきませんでしたが、主食・副食ともに10割ほど摂取できています。体温は36.7℃、脈拍は78、血圧は132/72、SPO2は94%でした。ただし、粗い断続性の副雑音が左肺より聴取できます。チアノーゼの出現や悪寒などはありません。また、創部の出血もありません。
患者に状況を確認したところ、朝食後息苦しい感じはありましたが食事自体はすべて食べることができたようです。また、手術した部分が痛みよく眠れなかった、身体も熱っぽい、とのことでした。
「S」から「P」の順番で書く方法
まずは主観的情報「S」からまとめていきます。この場合は患者が話す症状をまとめます。Sにあたるのは「朝食後から息苦しさを感じる」「少し身体が熱っぽい」のところです。この時に注意するのは、患者の言葉をすべてSとするのではなく、情報を整理してまとめる、ということです。
次に「O」の情報をまとめていきます。Oは客観的情報のことです。多過ぎると問題点が混同してアセスメントがぶれてしまうため、取捨選択が重要です。この場合、Oにあたるのは「患者には誤嚥性肺炎の既往歴がある」「昨日から常食に変更」「体温は36.7℃、脈拍は78、血圧は132/72、SPO2は94%」「粗い断続性の副雑音が左肺より聴取」のところです。
「A」は端的に分かりやすくまとめるようにしましょう。この場合は、「患者は誤嚥性肺炎の既往歴がある。昨日より常食に変更となったが今朝よりSPO2が低下し、肺雑音も左肺より聞き取れる。体温が上がりはじめているため、肺炎のリスクがあると考えられる」がAとなります。
最後の段階である「P」は自分が行ったケアなどを簡潔に書きます。この場合は肺炎のリスクがあるため小まめに確認することと、誤嚥性肺炎の既往歴があることから悪化しないように排痰ケアすることが必要なため、「呼吸状態を2時間ごとに確認」「SPO2の測定」「排痰ケア」と書きます。
「A」から書く方法
もうひとつの書き方がアセスメントから書き、結論に合わせてS情報とO情報を集める方法です。看護師としての勤務年数が長く業務に慣れている場合はこちらの方が書きやすいようです。今回のケースでは、検温の際の「SPO2が94%」という数字が気になるため、誤嚥性肺炎のリスクがあると仮定してアセスメントを行います。それから呼吸音を聴取し、食事の内容などのS情報やO情報を集めて確認します。問題を見つけた時点でS情報やO情報を集めると問題点が分散しないため間違いを防ぐことができます。