記載する時に注意することは?
SOAP形式をマスターすることは看護師にとって必要不可欠ですが、なぜSOAP形式をそれほど重要視するのでしょうか。SOAP形式のメリット・デメリットから見ていきましょう。また、SOAP形式で書くにあたって注意すべきポイントもまとめています。
メリット・デメリット
SOAP形式を用いる最大のメリットは内容の整理が簡単で問題点に焦点を当てた記録や情報収集が可能なことでしょう。分かりやすく簡潔に書かれているため、他の看護師もすぐに理解しスムーズにケアすることができます。また、問題点が分かりやすいため今後の治療計画も立てやすく、科学的、系統的に記録することができます。
一方、デメリットは、主観的情報「S」と客観的情報「O」の区別が迷いやすい、ということです。情報が多過ぎるとアセスメントが難しくなってしまうため、慣れるまでは情報の整理や取捨選択に戸惑ってしまうかもしれません。また、SOAP形式は基本的に生じた問題を解決するプランをまとめていくものなので、どちらかといえば短期的な問題解決に用います。長期間のプランには適しておらず、急変時はかえって問題点が多くなってしまいます。
間違いやすいポイントを確認しておこう
多くの医療機関で採用しているSOAP形式をスムーズに書けるようになるために、よくある間違いや難しいと思われる3つのポイントをしっかりと押さえておきましょう。
1つ目は「問題点が曖昧だったり、不明だったりすること」です。熱っぽさとだるさを訴えている患者について、「S」は熱っぽさとだるさ、「O」は倦怠感と37.0℃の微熱、「A」抗生剤が必要かどうか、「P」は続行、と書かれている場合、何をどう続行するのかがよく分かりません。SとOの情報からどのような問題点が浮かび、何をどうすればいいのかを明確に書きましょう。
2つ目は「問題が複数混在していること」です。「S」に身体のだるさ・うずき、「O」に倦怠感・疼痛、「A」術後の痛み、「P」に鎮痛剤投与、と書かれている場合、うずきと疼痛ばかりに注目し鎮痛剤を投与、と結論づけていることが分かります。しかし、倦怠感にはふれられていません。倦怠感が置き去りにされていることに疑問を感じるため、内容が正確に伝わっているとはいえません。なぜそうなってしまうのか、それは問題点が複数存在しているからです。基本的に、ひとつのSOAPには問題点もひとつです。このことを理解しておかなければ情報の整理も進まないでしょう。
3つ目は「情報が多過ぎること」です。患者の状態を正確に把握しようとするとどしても情報量が多くなってしまいます。例えば、「S」には歩きにくい・食欲がない・眠れない・痛みはない、「O」にはバイタルの異常なし・右目充血・右前腕部に腫れ、と書かれている場合、情報が詰め込まれ過ぎているので何が問題点なのか分かりません。情報はたくさんあった方がいいのですが、一貫した情報でなければそこからアセスメントし治療計画を立てることは難しくなってしまいます。